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『物語の役割』 小川洋子

去年『博士の愛した数式』を映画で見て感動し、
すぐに原作を読んで大感動し、
それ以来、小川洋子さんがとても気になってました。

この本は、小川さんが3つの講演で話された内容を
文章にまとめたもので、さらっと読める新書。
(1日で読めちゃうのに新書って高いよね)

わしはとにかくタイトルに惹かれたのです。
映画を見てるときや、普段の生活でも思うじゃないですか
「物語っていったいなんだろう」って。





多くの人が感動したと言ってる映画に
全く共感できなかった時とか
特に考え込んでしまうんですよね。

そういう映画はたいてい”物語を弄んでる”って感じがする。
人間を駒として扱ってるな。神様気分か?みたいな。
軽く憤りを感じたりもして。

で、この本の目次をパラッと見ると

・作家は小説の後ろを追いかけている
・言葉は常に遅れてやってくる
・テーマは最初から存在していない
・死んだ人と会話するような気持ち

・・・と、興味深い見出しがいっぱい。
作者の言葉より物語が先に存在している、という考え方が
面白いな、今の自分にフィットするなと思ったのだ。

テクニック以前の、物語の発生について解き明かしていて
本を読む人の孤独感、物語を必要とする人の心に
やさしく触れているところが感動的でした。
『博士の愛した数式』もそうだったけど
ぎゅっと胸に響いてくるものがあったよ。


by aundo2005 | 2007-02-22 14:24 | Book