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『幸福な食卓』

予想通り、いえ予想をはるかに上回る素晴らしい映画でした!

ある朝。
食卓でお父さんが「今日から父さんをやめる」と言い出す。
お母さんは不在。
息子と娘は、父親の宣言をわりあい普通に受け入れる。

この家族が、特に壊れた風でもなく、
ごく普通の(今となっては却って貴重な?)家庭っぽいので
突飛でトーンの低い会話になんだか違和感を感じてしまう。

そんな出だしで始まって、徐々に、この家族の数年間の出来事が、
なぜ父さんが父さんをやめると言いだしたのかが、わかっていく。
徐々に、っていうのがいいの。
説明しすぎず、こちらに考える余裕を持たせる。
好きな小説を1ページ1ページ、ゆっくりめくり、
言葉を噛みしめながら読むような
そんな感じで見ていく映画なのです。
原作は『卵の緒』の瀬尾まいこさん。




いわゆるホームドラマ風なのに
こんだけ感情を揺さぶられるなんて。
タイプは違うけど、山田太一さんのドラマを見ているようでした。
家族って繊細で怖い関係。
なんて今さらながら深く考えてしまった。

家庭にもサスペンスや感動の種はいっぱいあって
ぼやぼや生きてると何もないままだけど
ちょっと目を開けば色んなものが見えるし
風景は変わっていくんだろうな。
良いほうにも悪いほうにも。

家族の物語と並行して、中学3年生の娘・佐和子の初恋が描かれる。
わしは家族ものにも、初恋ものにもめっぽう弱いので
もうダブルでズキュンですよ。甘酸っぱいったらありゃしない。
「翼をください」の合唱で泣いちゃったんだから!

佐和子のボーイフレンド・大浦勉学くんは
まるでくらもちふさこのマンガに出てくるような
完璧にナイスな男の子なんですよね。惚れます。
北乃きいちゃん+勝地涼くんのアイドル映画として見ても絶品。

久しぶりに「この映画このまま終わらなきゃいいのにな」と思った作品。
そして見終わった瞬間、またもう1回見返したくなった。


by aundo2005 | 2007-03-08 22:08 | Movie